こんにちは岡本です。
博多では大相撲九州場所がはじまると
今年も冬が来たなと感じます。
今年はいつまでも暑かったのですが
やはり今週から大相撲が始まり
朝晩めっきり冷え込んできました。
日中でも気温は20℃を下回り、麹作りも
保温に一工夫が必要になってきます。
去年の11月22日のメルマガを
再度ご参照いただき
冬場の麹作りの参考にしてください。
以下からどうぞ
さて今回はお味噌造りで一番ご質問の多い
チロシンについて深堀します。
講座では米味噌と麦味噌そして玄米味噌を
造っていただきますが、
3か月ほど経過して
熟成が進むと味噌容器の側面に白い結晶が
現れてきます。

この結晶がチロシン(アミノ酸の一種)です。
初めて白い結晶を見るとカビではないかと驚きますが、
チロシンは「問題」ではなく「熟成の証」なのです。
『旨味成分』であり、品質に問題はありません。
そしてよく観察すると
麦味噌のほうが米味噌よりもチロシンが多い
傾向があるのに気づくと思います。
その主な理由は以下の通りです。
まずチロシン(tyrosine)が味噌の熟成中に
白い結晶として現れるのは、
たんぱく質が分解されて遊離アミノ酸になり、
溶解度を超えて析出する現象です。
理由①
麦味噌に使われる麦麹の原料の大麦は、
米に比べてグルテリンや
プロラミンなどのチロシン含有量の多い
たんぱく質を多く含んでいます。
一方米味噌に使われる
米麹の原料の米はでんぷん主体で、
たんぱく質含量自体が少なく、
チロシンの供給源が少ないということです。
理由②
麦味噌は米味噌より熟成中のpHがやや高め
(アルカリ寄り)になりやすく
チロシンは中性〜弱アルカリ性で溶解度が低いため、
麦味噌の環境では析出しやすくなります。
以上の理由から麦味噌の方が
米味噌よりもチロシンが多く現れるということです。
麦味噌の白いチロシン結晶は、
麦味噌特有の「コク」や「香り」の一部を
担っています。
まさに「大麦の力」が現れたサインなのです。

この冬は是非自家製の麦味噌で豚汁をつくって
暖まってください。美味しいですよー
今回は以上です。


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